SI業界の現状
Updated Date: 2024/01/01 00:26
過去の記事でSI業界のプログラマ足ることっていうのをまとめている。 結局書き直すことのないまま2019年を迎えてしまっている、だいたい4年前の記事ということになる。 こいつの現状についてちょっと思ったことを書いてみたい。
きっかけは以下のようなツイートだ。
僕がSIerを批判しない理由は「彼らはバカじゃない」というのをずっと側で見てきているからです。これから人月商売は通用しない、というのは彼らも重々理解していて、案件もどんどんマイクロ化していって数ヶ月単位の開発案件を同時並行で複数回しています。もちろん自分で手も動かして、です。続く。
— わだっしー@火消しエンジニア (@crazy_wada) 2019年3月24日
これを読んで僕の知ってるSIもだいぶ変わってきたなーっと感じた。
ちなみに僕自身もまた聞きだがSIの現場はだいぶ変わってきてるような話を聞いていて、 アジャイルで下請けと顧客含め案件をスプリントで回すのは結構当たり前でやってるらしいし、 プロパーは案件に直接入ってやってる人がリーダーとして1人、実働エンジニアが1、2人、その上に会社側の管理として案件外にマネジャーが1人みたいな3、4人体制であるようだ。 で、下請け合わせるとチーム数は10人前後になる規模の案件。この規模だと受注額は1億は行かなず、せいぜい5000万円どまりじゃないかなと感じる。 まぁそういうところでプロジェクトをこなす部隊がいる一方で、もちろん金融や公共における大規模エンタープライズの取りまとめのチームも存在する。 こっちについてはみんな知ってるだろうから割愛する。
で、例のアジャイルで案件回す部隊は培ったノウハウを自社製品とか自社サービスに昇華し、 他業務・他業界展開をやったりパッケージ化したりして新しいビジネスマネタイズを創造するっていう流れはある。 事実大手のSI企業は副業を許可したり、イントレプレナーを推奨したりしているからだ。 どんだけ研究開発に金をつぎ込んでるかは外側からは分からないけど、少なくとも大手SIは金に困ってないのでやる気になればいくらでも投資できるだろう。 問題は副業やイントレプレナーをできるような器用かつ起業家精神を持ったSEなんてほとんどいないという事実である。
そもそもSIを辞める人材の多くは、SIの「古き良き文化」に愛想を尽かした人が多いわけで、やれハンコリレーだの承認リレーだの、 予算・進捗管理でExcelをいじるだの紙を印刷してレビューするだのという、イマイチ時代に伴って進化しないプロセスやフローをやりたくなく、 さくっと結果を出して素早くプロジェクトを回すみたいなことができないフラストレーションを溜め込んでいたはずである。 だから、「自分たちで面白いサービスやシステムを自分たちの思うがままなすがまま成長させるほうが楽しいやー」という感じでSIを辞めていると思うのである。(僕はそう) そのため、いま現状では先述したような起業家精神のある人材は、辞めちゃってるからほとんど存在しないというわけである。
しかし、今の大手にはそれをできる環境がだいぶ整ってきているのも事実。ここ数年でなんと開発プロセスも進化したのである。 当たり前である。SIerにバカはほとんどいないからである。蓄積された経験値を一気にフレームワーク化し、いい感じに抽象化されたプロセスの枠が、 どこからともなくできあがってくるのである。すごいよSI。 なので、今までは存在しなかったであろう起業家精神を持ったSEはこれから多分大手SIの中に誕生するだろう。 とはいえ、まだ評価制度や役職・昇進体制については多分検討の余地がある。 今の課題としてはそうやって誕生した稀有な人材を、今度は開発環境ではなく待遇面で辞めさせない工夫をしなければならない。というところじゃないかなと感じている。
4年間で環境は整えるまでできているので、あと4年もすれば待遇面でも優秀な人材を抱え込む術は作り込めるんじゃないかと思う。 特に団塊世代がごっそりいなくなるのも向こう10年以内には発生するのでなおさらである。 今大手SIにいる若手(20代)は、そのまま残っていたほうが幸せになれる可能性は大きいかもしれない。もちろん数十年先は分からないから、 そこは自分のキャリアをちゃんと描きながら軌道修正するしかない。
そんな感じで、中途半端な中小企業なんかより大手SIは学ぶことも得られる経験値もデカいものがあるので、これから狙うのならオススメする。 所属先でだいぶ運命変わるけど、そこは声を上げれば異動できるのでギリギリ大丈夫。 また、冒頭のツイートにもある通りほとんどの中小SIは下請けメインで変化も流動的なので、こういうガチャ運を試すみたいなのはおすすめはしない。 多分SESを専門としてそっちに振り切ってる企業の方がだいぶマシじゃないかなと思う。
長々と書いたけど、結局SIって環境がアレでアレなのでエンジニアにとっては辛いなーっていう面がある。 そういう環境が少なくとも改善されつつあることもまた真実で、 社内起業がどんどん立ち上がるようになれば自社サービスを作ってることと全くおなじになるので、 それはそのへんの独立系サービス企業となんら変わらないということになる。
あれ?これどっかで見た記憶があるな・・・・リクルート社じゃね? 大手SIのお手本はリクルート社なのかもしれない。
過去記事との比較
まだプログラマが経理やる時代は来てない。でもプログラマが特別じゃない時代は多分くる。 大手SIのプログラマがプログラム書くだけじゃなく、起業家精神だったり経営視点だったり持ったりする時代は多分もうすぐ。 それに今はもうプロジェクトが下請けを入れることで分断化されることも減ってきてる。アジャイルでみんなが1つのプロジェクトをやるからだ。 つまり僕の思い描いた問題は解決されてきているし、思ってたことも大体取り組みが行われてきていると分かる。
あとはなにが足りないかといえば、結局いま現場でやってる人が教育・指導・評価の形を作っていけるかということかも。 ここだけは「やってらんねー」じゃ済まされないし、これが解決しない限り本当の意味での環境や待遇面での改善は見込めないかなと感じる。 まぁ、そもそもグローバル化しないと待遇がアメリカの大企業に全く勝てないってのもあるっちゃあるけど、 それはまた別の問題。