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ありのままの現実を書き殴る吐き溜め。底辺SEの備忘録。
Written by bon who just a foolish IT Engineer.

文化が混ざり合うと最初は議論が長引く

Created Date: 2021/02/13 04:40
Updated Date: 2023/11/05 03:00

五輪委員会会長の森喜朗さんの発言が世界からも叩かれ続けて今に至るが、個人的に森さんの言ってることは間違えていない部分もあると思っている。もちろん女性にだけ的を絞って語ってしまった点は問題ではあるが、彼の発言から本来彼が伝えたかったことというか、感じていたことを別の言葉で表現しようと思う。

女性ではなく「文化」として考える

例えば小中学校のPTAに普段参加していないお父さんたちが参加すると会議が長引くだろうし、普段は経営層でしか会話していない会議も一般社員を巻き込んだら長引くだろう。
今まで長らく存在したある意味固定観念となった文化圏に対して違う文化圏から人が流れ込んでくれば、今までの文化に変化が起こる過程で必ず何かしらの弊害は発生する。その一つが今回の発言の例に挙げられている議論の時間だと思っている。

実際、僕自身も文化のガラッと違う企業に転職して1年経つけど、未だにその文化の違いと考え方の差みたいなのに悩み続けている。それくらい人はすぐには変われない。もっというと組織の規模が大きければ大きいほど、組織の変化が所属する人たちに与える影響は大きくなる。だから昨日今日で男性社会であった体育会系の組織が新しい組織に生まれ変わるなんてことはあり得ない。

森さんがどれだけのことを頑張ってきたかは分からないのでここでは考察しないけれど、今回の発言につながる内容を彼自身感じることがあったからこそ言葉にしてしまったのだと思う。つまり、彼自身きっと当たり前に発生する文化の衝突に対して色々と苦労したのだということはある程度想像することはできる。

ということで僕なりの今回の発言の捉え方はこうだ。

「女性が議論を長引かせるのではなく、違う文化で育った人が今の文化に対して、あるいはその逆に今の文化が違う文化を受け入れる際に発生する認識合わせや双方の意見交換によって議論の時間は長引く」

実例

実例がないとわからんという人のために僕が経験したとても簡単な例を挙げておく。

僕の担当する業務では日本語がメインで、ここは日本なのでもちろん法律やシステムの仕組み、社会の仕組みはすべて日本に基づいた形をしている。
しかしながら僕らのチームには日本人よりも海外メンバーの方が多かったりする。

つまりこうだ。

  • 言語的な違いによる認識差異を埋めるための別の議論が必要
  • ローコンテクスト向けに資料作りやAgendaを作る
  • 言葉のズレに気をつける

これらを全部気をつけてやろうとするとどう頑張っても日本語で日本人同士で会話するよりも多くの時間を要することになる。
ただこれには1つ罠というか前提があって、そもそも元々の会議が多様性に鑑みた際に適切かどうかということである。

日本人はハイコンテクスト文化と言われるだけあって、空気を読むことや相手の気持ちを考えることなど言葉になっていない感情や物事の背景、状況から察する能力を要求される。そのため、文章に書かれていないことや相手の考えに応じてミーティングの目的や着地点を変えたりもするし、議論そのものも決定事項以外の紆余曲折は「誰もが空気を読んで知っている」という感じに終わったりすることもある。

なので多様性に会議を最適化していくことによって、本来必要だった会議の時間や内容の密度などは変わってくるはずである。それを考えていくことがそもそものスタート地点であり、目指すべき先である。僕もそうだったけど、これは意外なほど多くの日本企業に務めてるおっさんお姉さんがができていないのではないかと思う。

まとめ

森さんが経験したことは男性文化だった体育会系の、慣れ親しんだやり方や手法の打ち合わせやら議論やらに対し、女性を登用することによる変化の過程で起きた物事を「女性」という言葉でひとくくりにしてしまったことが過ちだったのだと思う。
まぁ、これが多様性や男女平等に対する発言であることが強調されていたとしても、言葉を切り取って女性蔑視発言にすり替えられていた可能性あったかもなーという気はする。

フェミニズムやジェンダーあたりのなかなか切り込みにくい話っぽく見えがちではあるが、個人的には異文化を取り込むと既存の文化に対する適応時間が必要になるということは事実だと思うので、今回の森さんの発言の裏に隠れた本質については、日本人文化に染まった多くのビジネス関係者には認識しておいてほしいなと思ってこれを書いた。

最後にもう一度誤解なきよう記述するが、僕は別に森さんを擁護しているわけではないし女性蔑視発言を軽視しているわけでもない。ただ僕自身も似たようなことを経験したなーという感じがあったため「女性」という言葉ではなく「文化」という言葉を用いることで、本来伝えたかった発言の意図みたいなのは見えてくるかな?と考えてみただけである。

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