役割の重複
Updated Date: 2024/01/01 14:47
今回は組織を縦割りで見たとき、1つの組織に同じ役割の人間が2人以上いる場合の処置を考えてみる。
ある組織に2つのチームがあって、それぞれのチームにはマネジメントの役割の人間が1人ずついると仮定する。 チームは、普段は別々の作業を抱えてそれぞれの目標とプロジェクト管理で同じプロダクトをエンジニアリングしている。 それゆえ開発プロセスやドキュメント、プロジェクト管理のルールなども共通の部分もあれば異なる部分もある。
ある日、双方のチームが協力して組織全体の生産性・効率性向上を狙う施策に取り組むこととなったとき、 共通の開発プロセスとそうでない部分のきれいな融合というか、整備が必要になったとする。 一般的には開発プロセス周りのフレームワークを固めることで安定的な品質・生産性の確保が見込まれるようになれば、 チームの人員移動の流動性や作業の見える化もある程度確保でき、結果効率性も向上することになる。
とはいえ、1つここで問題が発生する。
チームAとチームBの双方のマネジャーが、それぞれチームの信条と今後の計画を持っていた場合、
それを擦り合わせて着地点を見つけ出さなければならないという点である。
お互い自分の想定したものが正しいと思っているわけで、この議論は進むこともあれば、後退することもあるだろう。
有益な議論になる可能性もあるけど、僕の経験上先に待つのは内部闘争だと思うのである。
こういう、不毛な争いを避けるには、重複してしまった役割に一時的に差をつける事が必要だと考える。
例えば、片方のチームのマネジャーを専任のプロセス検討班のリーダーとすることで、
権限・役割を明確に別の軸(言い換えると立場的に上)にすることで、命令指揮系統の一本化は図ることができる。
ただし、この場合もう片方のマネジャーは自分が蔑ろにされてしまった点において、負の感情が生まれるかもしれない。
それを回避するには、難しいことだけど第三者機関を用いるとか、そもそも片方には内密に極秘プロジェクトで進めるとか、
そういう越権行為も必要じゃないかなと思う。
実際、多くの人間が関わるとプロジェクトの推進力が下がるという理由で、
特定のスペシャリストを揃えた極秘プロジェクトを内部的に勧めるみたいな例は、映画やアニメでも垣間見ることはできる。
結局プロセスは運用してみてなんぼの部分があるので、絵空事を言葉で述べるだけの行為には全く価値がないのは明確なことで、
これは僕もずいぶん自分で失敗しつつ経験してきたことだ。
そしてなにより、悪かった部分を見直すこと、できた部分をより良くすること、誰もが前に進む施策を考えること、それらを続けることという、
当たり前のサイクルを愚直にやらなきゃ駄目なことに気付かされるわけである。
だってこれは、行きつくところとしてはシステムの品質を上げることでもあるし、システムの機能を拡充することでもあるし、
ユーザー満足度を向上させることでもあるし、いわばビジネスにおけるすべての基礎であるように考えられるのである。
ビジネスの世界は統計・推量・想定のデータそのものには全く意味がなくて、
それを使って問題に取り組み、それがどのような効用であったかを評価するまでが1つの仕事である。
研究と違う部分はそこだ。研究とビジネスはそれぞれが別の垣根で存在している。
例えばピクシーダストテクノロジーズCEOの落合陽一氏は、大学所属の研究家でありかつビジネスマンなので、
双方を融合させて自分の思い描く仕組みを実現するために日々邁進されている。(※1)
僕は研究分野では全く経験値がないなのだが、ビジネスを通した研究は必要だと思っていて、 これは自分らのビジネスの方向性について、数値を以て正しいことを証明するために実施するものだ。 つまり、プロセスの改善が「正しかった」ことを証明するために、導出された数字を用いてそれを組織に伝えるということである。 そうすることで、行動の正当性をアピールすることができる。感覚で「何か良くなった」ってのは、利益にのみ許される特権だ(と、僕は思っている)。 これが僕が2019年の抱負で言っていた自分のやってきたことや考えたことを論文ぽくまとめて残せたらいいなという目標の1つである。
まとめ
役割の重複は軋轢を生む。その場合の考え方としては優先すべきことを優先するために役割や役職などに一時的に差をつける。 プロジェクトを作ったり組織改正したりみたいな方法でやる。 そんでもって役割を得たからには必ず行動し、成果をまとめて組織へフィードバックする。 正しい行動であることを評価できれば、すなわち「成功した」と胸を張って言える。あとは同じことをやってもらえるように組織の各メンバーへ任せる。
そして、行動と評価は表裏一体なので、どちらかがおろそかになるのなら、それらの行動や結果に疑問を持って取り組むことが重要。
(※1)詳細はこちらを参照:
VCが支援、急成長するスタートアップ 落合陽一氏が「ビジネス」にも力を注ぐ理由 魔法技術を事業化へ
参考サイト:
ビジネスとアカデミアの二つの大きな違い
2011年と古い記事だけど、僕の言いたいこと(ビジネスと研究の違い)が綺麗にまとまっている。