物事は横のつながりの連鎖
Updated Date: 2024/01/01 14:47
ある体験をしたと仮定し、その体験とは全く関係のない体験をしたとさらに仮定したとき、 その2つの体験につながりはあるだろうか。
例えば「朝が寒いので布団から出られず寝坊したという体験」と、「つい夜更かしをして睡眠時間が足りずに寝坊した体験」の2つには、 まったく関係性がないように思える。しかしながら結果的に「寝坊した」という事象を招いた点では、同じ事象である。 ということは、これらの事象には少なからず関係性があるということになる。
簡単な証明をすれば
A: 朝が寒いので布団から出られない
B: 寝坊
C: 夜更かしして睡眠時間が足りない
としたとき、 A=B C=B となる。つまり、 A=C である。
実際に考えてみるとA=Cが成り立つとは思えないんだけど、事実寝坊したという結果そのものに関連するわけなので、 それを起点に考えた場合はA=Cなのである。
このようになんか関係しそうにないけど関係性を見出すってことをやってると何が起きるかといえば、 類推することに対する材料を多く持つことができる。
エンジニアの職場において何かしら方向性を示さなければならない場面は毎日発生する。 システムエラーが起きているときの次の施策、サーバーダウン時の次の施策、仕様不明確なときの次の施策などなど…仕事はそういう分岐点の連続だ。 TODOリストやメモ帳、Wikiやカンバンなど物事をまとめる類の書籍やシステムなどが年がら年中必要とされ話題になるのは、 それが日常で必要であるという一般認識が広く存在するからであろう。 物事を整理しなければならなくなるということは、すなわち物事で溢れかえる場面があるからである。 では、その溢れた物事を1つ1つどう処理すればいいのだろうか。 この問いが最初の推論につながる。
一見関係のない物事を、ある特定の結論や一般的な認識であるとした場合には、 「帰納法」や「演繹法」といった推論を用いた思考法を実践することができるようになる。 これらの推論はある特定の結論を導き出すことに使える。 つまり、誰かを説得するための道具になり得るのである。 (帰納・演繹については(外部サイト)難解な対義語「演繹」と「帰納」をわかりやすく教えます!〜指導法付き〜を参照すると良いかも)
推論も統計も一般的には証明のもととなる事実や事例が多いほど正確性が増す。 なので、どんな物事でも関連性を見出すことができれば、何かしらの推論に用いることができるようになる。
日本人であれば「カッターは折れば新品になる」というのは当たり前だと思っているのではないだろうか。 でもこれは、日本のオルファカッターが作り出した技術(一般常識)である。 オルファカッターは創業者が街で見かけた「板チョコ」がアイデアのもとだったそうだ。 でも、板チョコだけが折るカッターの誕生のきっかけだったかといえば、きっとそうではないだろう。 そもそも「まだ砥げば使えるのに刃を捨てなければならない」とか「ハサミやカミソリ以外の何かがあればいいかも」とかいう、 前提となる問題があったはずだ。 これは、エンジニアでも同じ話である。
エンジニアはプログラムのバグやアルゴリズムの実装など、答えが明確でない状況で格闘することが多い。
これが前提となる問題である。
この問題を解決するために、多くの物事だ。すでに何度も遭遇したバグや実装したアルゴリズムなどのすべての物事の、
ある特定の部分に共通点を見い出せると、問題もいくつかの種類に分類することができる。
そうやって少しずつ問題を小さくしていくと、難しいと思っていた問題も「わかる部分」と「わからない部分」に分けることができるだろう。
そこから先は、「わからない部分」をいかにわかるようにするか考えればいいのだ。
物事は横のつながりの連鎖である。1つ1つは全く違う物事であっても、 どこかで自分の知っている体験や経験とつながるだろうし、細かい部分を切り取ればそれが自分の持っている悩みや問題の解決への糸口になることもある。 常日頃から自分の経験に向き合う癖を付けておくと生きやすくなるかもしれない。